カナリア諸島で星空観察をするなら、答ははっきりしています。ラ・パルマ島(La Palma)です。訪問者の17%が星空を見に出かける島で、その割合はテネリフェ島(Tenerife)の3倍。ロケ・デ・ロス・ムチャチョス天文台(Roque de los Muchachos)、標識の整った16か所の天体観測展望台、そしてスターライト認定ガイドの会社がいくつも揃っています。2番目の候補はテイデ国立公園(Parque Nacional del Teide)で、ホテル送迎や夕食付きのツアーが最も充実しています。
夜に標高2,000mまで上がりたくないなら、暖かいフエルテベントゥラ島(Fuerteventura)が選択肢です。島全体がスターライト保護区に指定されています。グラン・カナリア島(Gran Canaria)とエル・イエロ島(El Hierro)にも、スターライト観光地の認定を受けたエリアがあります。
カナリア諸島で星空を見られる場所
ロケ・デ・ロス・ムチャチョス、ジャノ・デル・ハブレ(Llano del Jable)、16か所の展望台
世界初のスターライト保護区。日中のGTC見学と、30ユーロからの夜のツアー。
テイデ国立公園とイサーニャ(Izaña)
クンブレス・デ・テネリフェ保護区。日中の天文台見学は21ユーロ、夕食付きツアーも。
シカスンブレ(Sicasumbre)、カルデロン・オンド(Calderón Hondo)
島全体がスターライト保護区。低い標高で暖かい夜、ガイド付きツアーは45ユーロから。
テヘダ(Tejeda)の山頂部とロケ・ヌブロ(Roque Nublo)
スターライト観光地。サンタ・ルシア・デ・ティラハナ(Santa Lucía de Tirajana)も認定。夕日と星空のツアーは45ユーロから。
ラ・フロンテラ(La Frontera)、オルチージャ灯台(Faro de Orchilla)
ラ・フロンテラはスターライト観光地。オルチージャは車で行ける暗い観測ポイントです。
「空の法律」とスターライト保護区
カナリア諸島の夜空は1988年から法律で守られています。カナリア天体物理研究所(IAC)の天文台の天体観測環境を守る法律31/1988号(Ley 31/1988)は、勅令243/1992号(Real Decreto 243/1992)で細則が定められ、1992年からはIACに光害の監視を専門とする技術事務所が置かれています。
これに加わるのが、IAC内に本部を置くスターライト財団(Fundación Starlight)の認定です。カナリア諸島にはスターライト保護区が3つあります。ラ・パルマ島(2012年4月)、クンブレス・デ・テネリフェ(Cumbres de Tenerife、2013年10月)、フエルテベントゥラ島(2015年3月)です。そしてスターライト観光地が8つ。ラ・パルマ島、グラナディージャ・デ・アボナ(Granadilla de Abona)、エル・テイデ、グラン・カナリア島、ラ・マタンサ・デ・アセンテホ(La Matanza de Acentejo)、フエンカリエンテ・デ・ラ・パルマ(Fuencaliente de La Palma)、サンタ・ルシア・デ・ティラハナ、ラ・フロンテラ(エル・イエロ島)です。よくある混同に注意してください。テイデ国立公園は「観光地」で、テネリフェ島の「保護区」はクンブレス・デ・テネリフェという名前です。
空がきれいなもうひとつの理由は気象です。島々の上空には逆転層ができ、標高およそ700〜1,500mの間に湿気をとどめます。これが有名な「雲海」です。4月から9月の観測では90%以上でこの逆転層が見られ、2つの天文台はいずれもその上にあります。
2つの天文台と見学方法
まず、がっかりしないためにひとつ。夜のツアーで天文台の中に入れるものはありません。ドームを見学できるのは日中だけで、夜のツアーは展望台に持ち運び式の望遠鏡を据えて行います。
ロケ・デ・ロス・ムチャチョス天文台(ラ・パルマ島)
標高2,396m、ガラフィア(Garafía)のタブリエンテ・カルデラ(Caldera de Taburiente)の縁にあります(標高2,426mのロケ山頂は別の地点です)。20基ほどの望遠鏡と、世界最大の光学赤外線望遠鏡であるGran Telescopio Canarias(GTC)があります。GTCは36枚の六角形の鏡で構成され、口径10.4mの鏡1枚に相当します。
見学はスターライト認定ガイドが案内し、午前中に10〜22人のグループで行われます。所要1時間半〜2時間で、GTCの内部に入り、MAGICとCTAの望遠鏡を外から見学します。料金は20ユーロ(6〜11歳とラ・パルマ島の居住者は15ユーロ)、6歳から参加でき、スターライトガイドの会社に事前予約します。条件はIACの見学案内ページに載っています。移動は自分の車で、ガイドの車について走ります。送迎は含まれません。IACによると、12月から3月は天候のため見学が中止になるので、冬は旅程を組む前に日程を確認してください。
ロケのビジターセンターは15ユーロですが、天文台見学のチケットがあれば7日間50%割引になります。支払いはカードのみで、現金は使えません。詳しくはラ・パルマ島の星空へ。
テイデ天文台(テネリフェ島)
イサーニャの標高2,390mにあり、こちらもIACの施設です。日中のガイド付き見学は21ユーロ、8〜16歳は無料で、8歳未満は参加できません。所要1時間半で、太陽望遠鏡と夜間用望遠鏡の内部を見学します。販売はVolcano Teideのvolcanoteide.comのみです。自分の車と身分証明書が必要です。プロの天文台に足を踏み入れる、いちばん安い方法です。
島ごとの星空スポット
- 1Roque de los Muchachos山頂ルート案内 ↗
- 2Llano del Jable見どころルート案内 ↗
- 3Volcán San Antonio山頂ルート案内 ↗
- 4Observatorio del Teide見どころルート案内 ↗
- 5Teleférico del Teide見どころルート案内 ↗
- 6Calderón Hondo山頂ルート案内 ↗
- 7Tejeda町ルート案内 ↗
- 8Faro de Orchilla見どころルート案内 ↗
ラ・パルマ島:16か所の天体観測展望台と星空ツアー
島には16か所の天体観測展望台のネットワークがあります。最初に整備されたジャノ・デル・ハブレとジャノ・デ・ラス・ベンタス(Llano de Las Ventas)、サン・アントニオ火山(Volcán de San Antonio)、ピコ・デ・ラ・クルス(Pico de la Cruz)、サン・バルトロ(San Bartolo)、モンターニャ・ラス・トスカス(Montaña Las Toscas)などです。各社はその夜の天気に合わせて場所を選びます。Ad Astra La Palmaは1時間半のセッションで30ユーロから(3〜11歳は18ユーロから)。AstroLaPalmaは大人35ユーロ、子ども25ユーロで、ロス・カンカホス(Los Cancajos)のオフィスからガイドの車について行きます。Astronorteは2時間で35ユーロです。Ad AstraとAstroLaPalmaは自分の車での移動になります。展望台へ行く公共交通機関はありません。天体観測ツアー会社のレビューもご覧ください。
予約サイトで「ロケ・デ・ロス・ムチャチョスで」とうたわれているワイン付きツアーは、天文台の近くで行う夜のツアーで、中に入るわけではありません。夜間、ドームは一般に公開されていません。
安く初体験したいなら、ロス・カンカホスで毎週木曜に星空の下を歩く散策があり、料金は3ユーロ(7月と8月は5ユーロ、18歳未満は無料)。望遠鏡は使いません。ロケ・デ・ロス・ムチャチョスへ行くバスはなく、山上にはガソリンスタンドもありません。カーブの多い山道LP-4に入る前に満タンにしておきましょう。ほかの過ごし方はラ・パルマ島のガイドへ。
テネリフェ島:テイデ国立公園
テネリフェ観光局(Turismo de Tenerife)が勧めるのは、グアハラ山(Montaña de Guajara)、パラドール周辺、ウカンカ平原の展望台(Llano de Ucanca)、イサーニャです。道路沿いの展望台から空を眺めるのに許可は要りませんが、公園内ではキャンプも、車やキャンピングカーでの車中泊もできず、ロープウェイの駐車場は夜間閉鎖されます。喫煙も禁止です。
ツアーの選択肢は諸島で最も豊富です。ロープウェイ乗り場の近くでの観測は、現地集合なら35ユーロ(送迎付きは77ユーロ)。夕日と星空のツアーは予約サイトで35〜40ユーロから、夕食付きは55ユーロからです。標高3,555mまでロープウェイで上がって夕日を見るのは、Volcano TeideのSunset & Stars(159ユーロ)だけ。Volcano Teideの夜のツアーはどれも8歳未満は参加できず、島の北部から出るツアーは少なめです。詳しくはテイデ山ガイドへ。
特別な夜は道路が閉鎖されることも
人出の多い夜は、公園への自家用車の乗り入れが禁止されることがあります。前例もあり、皆既日食とペルセウス座流星群が重なった夜には、4本のアクセス道路がすべて17:00から5:00まで閉鎖され、臨時バスだけが上りました。流星群の前にはTenerife ONの警報を確認してください。
フエルテベントゥラ島:暖かい保護区
島全体がスターライト保護区で、山の寒さを避けたい人に向いています。パハラ(Pájara)のシカスンブレ展望台は島で最初の天体観測展望台で、解説パネル、日時計、望遠鏡の台が備わっています。ガイド付きツアーは、ラハレス(Lajares)近くのカルデロン・オンド火山と星空観察を組み合わせたもので、3時間、45ユーロからです。ほかの過ごし方はフエルテベントゥラ島へ。
グラン・カナリア島とエル・イエロ島
グラン・カナリア島はスターライト観光地で、サンタ・ルシア・デ・ティラハナも独自の認定を受けています。送迎付きの夕日と星空のツアーが45ユーロから、テヘダから歩く天文ルートが59.95ユーロからあります。個人でロケ・ヌブロへ行く場合、義務の事前予約は10:00〜17:00だけが対象なので、夕暮れ時には不要です。ただしラ・ゴレタ(La Goleta)の駐車場は閉まっているので、クルス・デ・ロス・ジャノス(Cruz de Los Llanos)かテヘダに車を停める必要があります(詳しくはグラン・カナリア島の内陸観光へ)。ちょっとした豆知識として、世界遺産のリスコ・カイド(Risco Caído)では、先住民の洞窟が太陽と月の動きを示す暦の役割を果たしています。
エル・イエロ島では、ラ・フロンテラが2023年10月からスターライト観光地になっています。エル・ピナル(El Pinar)にあるオルチージャ灯台は、車で行ける暗い観測ポイントです。ここはグリニッジ以前の本初子午線でした。詳しくはエル・イエロ島へ。
いつ行くか:月齢、季節、流星群
まずは月です。満月の夜は天の川が見えなくなり、ラ・パルマ島には満月前後にはセッションを組まない会社もあります。予約する前に月齢を確認しましょう。
今夜—— 輝面比
今後の新月
星空観察に最適なのは、新月の前後5日間です。
| 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 天の川の中心部 | 不可 | 不可 | 不可 | 可能性高 | 最適 | 最適 | 最適 | 最適 | 可能性高 | 可能性高 | 不可 | 不可 |
| ロケ・デ・ロス・ムチャチョスの日中見学 | 不可 | 不可 | 不可 | 可能性高 | 可能性高 | 可能性高 | 可能性高 | 可能性高 | 可能性高 | 可能性高 | 可能性高 | 不可 |
| 大気が最も安定(逆転層) | 可能性高 | 可能性高 | 可能性高 | 最適 | 最適 | 最適 | 最適 | 最適 | 最適 | 可能性高 | 可能性高 | 可能性高 |
可能性低可能性高最適
天の川の中心部が見えるのは4月から10月で、ベストは5月から8月。大気が最も安定する時期でもあります。冬も空はきれいですが、山の上はずっと寒く、低気圧がやってくる季節です。有名な流星群は、8月12〜13日ごろのペルセウス座流星群(8月のカナリア諸島と合わせてどうぞ)と、12月13〜14日ごろのふたご座流星群(12月のカナリア諸島)。ほかに1月初めのしぶんぎ座流星群、5月初めのみずがめ座η流星群もあります。よく見えるかどうかは、その年の月の条件次第です。
ツアーは日没に合わせて始まるので、ピックアップの時間も季節で変わります。テネリフェ島南部の日没は、11月中旬で18:15ごろ、6月には21:00過ぎです。
| 月 | 日の出 | 日の入り | 昼の長さ |
|---|---|---|---|
| 1月 | 07:57 | 18:29 | 10 h 32 min |
| 2月 | 07:42 | 18:54 | 11 h 12 min |
| 3月 | 07:14 | 19:12 | 11 h 58 min |
| 4月 | 07:39 | 20:29 | 12 h 50 min |
| 5月 | 07:14 | 20:47 | 13 h 33 min |
| 6月 | 07:06 | 21:02 | 13 h 56 min |
| 7月 | 07:16 | 21:03 | 13 h 46 min |
| 8月 | 07:33 | 20:43 | 13 h 10 min |
| 9月 | 07:48 | 20:09 | 12 h 20 min |
| 10月 | 08:04 | 19:35 | 11 h 31 min |
| 11月 | 07:25 | 18:11 | 10 h 45 min |
| 12月 | 07:48 | 18:09 | 10 h 22 min |
カナリア諸島の現地時間(スペイン本土より1時間遅い)で、諸島中央部の各月中旬の値を算出しています。
山頂の寒さ:持ち物リスト
イサーニャ(標高2,369m)の1月の平均気温は日中7.5°C、夜間1.1°Cで、この月は霜の降りる日が約12日あり、12月から3月には雪が降ることもあります。ラ・パルマ島の山頂部も冬は氷点下になります。夏でも、夜の標高2,000mでは防寒着が必要です。
- 服装:冬はフリース、ジャケット、帽子、手袋。一年中、長ズボンとつま先の覆われた靴を。Volcano Teideは夕日のツアーで長袖と長ズボンを義務づけています。ロケのドームの中は日中も寒いままです。
- 赤色ライト:白い光を見るとしばらく目がくらみます。目が暗さに慣れるには15〜30分かかります。
- 健康:標高約2,400mのため、各社は貧血、心臓や呼吸器に疾患のある方、乳児の参加を勧めていません。山上に医療設備はありません。
- カリマ:夏のサハラの砂塵は標高の高い場所ほど濃く、夜空を台無しにすることがあります。予報をチェックしましょう。
星空ツアーの種類と料金
| タイプ | 場所 | 料金 | 所要時間 |
|---|---|---|---|
| 天文台の日中見学 | イサーニャ(テネリフェ島)、ロケ・デ・ロス・ムチャチョス(ラ・パルマ島) | 21ユーロ / 20ユーロ | 1.5〜2時間 |
| 展望台で望遠鏡、自分の車で移動 | ラ・パルマ島、テイデ山ロープウェイ乗り場 | 30〜35ユーロから | 1〜2時間 |
| 夕日と星空のグループツアー | テイデ山、グラン・カナリア島、フエルテベントゥラ島 | 35〜45ユーロから | 3〜6時間 |
| 夕日、夕食、星空 | テイデ山 | 55〜89ユーロから | 3.5〜9時間 |
| 夕暮れのロープウェイと望遠鏡 | テイデ山、標高3,555m | 159ユーロ | 8時間 |
| 望遠鏡なしの散策 | ロス・カンカホス(ラ・パルマ島) | 3ユーロ(7月と8月は5ユーロ) | 1時間 |
Volcano Teideの組み合わせツアーでは、天候で一部が中止になった場合、返金されるのはその部分だけです。予約前に条件を読んでおきましょう。
おすすめ
1
テイデ山、夜を楽しむコスパ重視
国立公園で夕日と望遠鏡での観測、35ユーロから。
2
テイデ山、夕食付き
夜をまるごと楽しみたい人に。夕日、夕食、ガイド付きの観測で約9時間。
3
ラ・パルマ島、望遠鏡で
星の島で2時間のガイド付き観測、39ユーロから。
4
フエルテベントゥラ島、暖かい夜
夕暮れのカルデロン・オンド火山と星空。高山の寒さとは無縁です。
5
グラン・カナリア島
ガイドと夕日と星空を。ホテル送迎か現地集合かを選べます。
GetYourGuideですべてのプランを見る →2026年10月2日時点の料金
よくある質問
カナリア諸島で星空を見るならどこがいいですか?
16か所の天体観測展望台とロケ・デ・ロス・ムチャチョスがあるラ・パルマ島と、テイデ国立公園です。島全体がスターライト保護区のフエルテベントゥラ島は、山の寒さなしで楽しめる選択肢です。
ロケ・デ・ロス・ムチャチョス天文台は夜に見学できますか?
できません。見学は日中のみで、スターライトガイドが案内し、料金は20ユーロ。夜間に入れるのはスタッフだけです。夜のツアーは、展望台で持ち運び式の望遠鏡を使って行います。
テイデ山の星空ツアーの料金はいくらですか?
送迎なしの観測は35ユーロから、夕日のツアーは予約サイトで35〜40ユーロからです。夕食付きは55ユーロから、夕暮れにロープウェイで上がるツアーは159ユーロです。
カナリア諸島で星を見るベストシーズンはいつですか?
満月から離れた夜ならいつでも大丈夫です。天の川の中心部なら5月から8月。ペルセウス座流星群は8月12〜13日ごろ、ふたご座流星群は12月13〜14日ごろです。ロケ・デ・ロス・ムチャチョスの日中見学は12月から3月まで中止になります。
夜のテイデ山は寒いですか?
寒いです。冬は氷点下になり、雪や凍結もあります。夏でも防寒着、長ズボン、つま先の覆われた靴が必要です。
子ども連れでも星を見に行けますか?
行けますが、制限があります。テイデ天文台とVolcano Teideの夜のツアーは8歳未満不可、ロケ・デ・ロス・ムチャチョスの見学は6歳からです。ラ・パルマ島には、子ども料金18ユーロからのセッションもあります。









